建築と芸術の融合 | 枚方市のリノベーション・リフォームはgreen建築工房

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建築と芸術の融合

建築 日常のできごと 理央

以前訪れて空間アートに感動した、岡山県にある『奈義町現代美術館』のご紹介をさせていただきます。

建築家磯崎新さんによって設計され、国際的に活躍されている荒川修作+マドリン・ギンズさん、岡崎和郎さん、宮脇愛子さんの4人の芸術家とともに建てられた、作品と建物とが半永久的に一体化した美術館です。

太陽、月、大地と名付けられた、外部からも明らかに認知出来るような形の3つの展示室から構成され、この土地の自然条件に基づいた固有の軸線を持っています。「太陽」の軸は南北軸、「月」の平坦な壁は中秋の名月の午後10時の方向を指し「大地」の中心軸は、秀峰那岐山の山頂に向かっています。

『太陽』

この部屋は真南を向いており、前方から光が入ってきます。そしてシルエットになった一対の渦巻、中国伝来の「陰陽」の模様。左右には京都の龍安寺そっくりの石庭が、真南を向いた円筒の部屋の中心軸を対称にして対に置かれています。

傾いた円筒空間の中に入ると、目で見える感覚と体で感じるバランス感覚がずれてきます。これによって、私たちが普段当たり前だと思っている感覚や意識が揺さぶられます。

その不安定な重力と龍安寺の石庭の融合により、「自分」と「他人」や、「ここ」と「そこ」といった、物事の境界があいまいに感じられる空間がつくられています。

『月』

「休むこと」をテーマにした静謐な空間。三日月型の部屋に重厚な石のベンチ。そこでは人が足を止め、光と影、時間の流れを感じながら、心と身体をそっと休めることができます。

この空間は、ただリラックスするための場所ではなく、自然や歴史、日本独自の美しさの感覚と深くつながっていて、私たちに「本当に大切なものは何か?」と問いかけてきます。

私たちはこれまでに何を失い、何を忘れてきたのか——。
この場所で少し立ち止まって過ごす時間は、自分自身や、世界との関わりをあらためて見つめ直すきっかけになります。

『大地』

この空間では、「在る」と「無い」のあいだを行き来するような、見えない気配や移りゆくものに注目しています。そこには、日本の美意識――特に「移ろいの美しさ」や「もののあはれ」といった繊細な感受性――が深く込められています。

光と影、外と内、生と死といった対比のなかから、私たちの心や自然の本質が浮かび上がってきます。

「大地の部屋」という空間を通して、人が立ち止まり、通り過ぎ、何かを感じて、それを心に残していく。

全体を通して伝わってくるのは、「在ること」が「無いこと」によって支えられているという深さです。

岡山に行くことがあればぜひ立ち寄って体感してみてください。

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