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空間のバランス
インテリア デザイン 建築 貫十
社会人になって間もない頃、アジアからヨーロッパまで2年間ほど旅をしたことがあります。
各地の建築・遺跡を訪れただけでなく、観光客がいないような地域で地元の人々との時間を楽しんだりしていました。
地元の人々との交流から学んだこと、気づかされたことが一番大きかったのですが、
建築的にも体感できて良かったと思える場所がいくつかあります。
そのひとつにトルコのブルーモスクがあります。
世界でもっとも美しいモスク と言われています。
ブルーモスクはトルコのイスタンブールに建っています。
イスタンブールはヨーロッパとアジアの境目でとても魅力的で個人的にも大好きな街です。
夕暮れ時のボスポラス海峡の眺めは最高です。
ブルーモスクは内部の青い装飾タイルとステンドグラスがとても美しいことで有名です。
実際にその空間に入ると圧倒されるぐらい美しいです。
ただ僕が感動したのはタイルではなく、ステンドグラスでもなく、
「照明の高さ」です。
照明の高さが低い!
天井高43Mの大空間に取り付ける照明の高さが とてつもなく低い!
頭には当たらないけど、思わず頭を下げてしまいそうなぐらい低い!
でもこのバランスがたまらなく格好いい!
と思うのは僕だけでしょうか、、、
ブルーモスクのタイルやステンドグラスの美しさはあちこちで語られていますが、
照明の高さが美しい!と書かれてるのを見たことがありません(-_-;)
見上げるほどの高い天井から何本ものワイヤーが下りてきて、小さな照明がきれいな水平ラインを保って吊るされています。
本当に絶妙なバランスです。
この照明があることで、単にだだっ広いだけの空間にならず、これだけ低いのに圧迫感はなく、
モスク特有のアーチ天井の曲線と照明の水平ラインがそれぞれのラインの美しさを際立たせています。
あと1メートル高い位置に照明があれば、全く違った印象になっていたと思います。
固定概念に縛られず、ハッとさせられるような絶妙なバランスを意図してデザインできるようになりたいと思います。
機会があればまた訪れたい場所です。