瀬戸内海の穏やかな海に囲まれた小豆島は、自然と人の営み、そしてアートと建築が共存する特別な場所です。
3年に一度の瀬戸内国際芸術祭の舞台として知られ、現代アートと地域の文化が融合した独自の景観を生み出しています。
今回は「建築とアートの関係」をテーマに、小豆島で出会った風景と作品をたどります。

島全体がギャラリーになる——屋外アートの魅力

瀬戸内芸術祭では、作品が美術館の中にとどまらず、島全体に広がります。
漁港の片隅や古い路地、丘の上の展望台など、暮らしの風景そのものが展示空間です。
風・光・潮の香りがアートに混ざり合い、訪れる時間や天気によって作品の表情が変わる——まさに「生きているアート」。
その土地にしか生まれない“場の記憶”が感じられます。

建築家たちの挑戦——自然との対話から生まれるデザイン

小豆島では、建築家が地域と向き合いながらつくる空間も数多くあります。
たとえば「千年オリーブテラス」。
瀬戸内の海を見渡す丘の上に立ち、樹齢千年を超えるオリーブの木とともに存在する建築です。
ガラスと木で構成されたシンプルなデザインは、自然の光を受けて時間ごとに色を変え、訪れる人々を静かに迎え入れます。
建築が風景に溶け込み、アートのように“感じる場所”となっていました。

小豆島で訪れた印象的な建築と作品

• 瀬戸内アジアギャラリー

アジア各地の文化とアートを紹介するギャラリー。
白い外壁と木のぬくもりを感じる内部空間が特徴で、展示だけでなく地域との交流拠点にもなっています。
作品だけでなく、建物自体も“アジアと瀬戸内をつなぐ架け橋”のような存在でした。

• 迷路のまち

土庄町の旧市街地に広がる「迷路のまち」は、古い町並みを活かしたアートプロジェクト。
路地裏に点在する作品群は、生活空間とアートの境界を曖昧にし、歩くこと自体が体験になります。
静かな路地を抜けるたびに、壁面アートや音のインスタレーションが現れ、まるで“島そのものが美術館”のようでした。

まとめ

小豆島で感じたのは、アートも建築も「自然と人との関係性の中で生まれる」ということ。
美しい建物も、心に残る作品も、この島の風・光・人の営みがあってこそ輝きます。

今回の体験を通じて、自分の仕事にも「自然と調和するデザイン」や「時間とともに育つ空間づくり」をもっと意識していきたいと感じました。
島で見た穏やかな建築や、暮らしに寄り添うアートのように、日々の仕事の中にも“余白と温度”を取り入れていきたいと思います。