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「借景」の秋
デザイン 建築 洋
秋になると、家の中で感じる風景や時間は、少しだけ特別になります。
朝晩の涼しさ、澄んだ空気、紅葉に色づく木々。住まいはただ暮らすだけの場所ではなく、季節を受けとめてくれる「舞台」としての顔を見せてくれます。
- 窓辺に映る“秋の絵”
秋の光はやわらかく、窓から入る陽射しは夏よりも落ち着きがあります。
リビングやダイニングの窓から、木漏れ日や夕日が床に落ちる様子を眺めるだけで、心が少し和らぎます。
もし外に紅葉した木があれば、それはまるで絵画のよう。窓が「額縁」となり、暮らしに季節を添えてくれます。

- 自然を暮らしに取り込む
日本には「借景」という美しい考え方があります。
家の外の景色を、あえて住まいの一部として楽しむというもの。
庭に積もる落ち葉や、近所の公園の木々の彩りも、窓越しに見ると住まいの景色になります。
何気ない日常の中でも、「あ、今日は赤が濃くなったな」と気づくと、それだけで秋がより深く感じられます。

- 風や音を味わう
秋の夜は、窓を少し開けるだけで心地よい風が通り抜けます。
虫の声や、遠くの木々が揺れる音を耳にすると、自然と呼吸も深くなります。
こうした音や風までもが、家にいながら楽しめる“秋の借景”なのです。

- 家と向き合う季節
秋は、冬に備えるための点検やお手入れにも良い時期です。
落ち葉がたまった雨樋を掃除したり、外壁を見直したり。少しの手入れで冬を安心して迎えられます。
「面倒な作業」ではなく「季節ごとに家と会話する時間」と思うと、家がますます愛着のある存在になります。
おわりに
秋の建築を楽しむポイントは、
• 窓辺に映る光や景色を味わうこと
• 借景として自然を暮らしに取り込むこと
• 風や音を感じること
• 家と向き合う時間を持つこと
ほんの少し意識を向けるだけで、今の住まいはもっと豊かな表情を見せてくれます。
この秋、ぜひ窓辺に座って景色を眺めたり、風を感じながら過ごしてみてください。
きっと「住まいが季節を映す舞台なんだ」と実感できるはずです。