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マンションリノベ 都市の一室で自然を感じる
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気配としての自然
マンションの一室を改修する計画が進んでいます。
集合住宅という環境のなかで、どのように自然を取り入れようか。
設計のテーマは、最初から明確だったわけではないけれど、光の入り方や空気の流れを考えていくうちに、少しずつ進んできました。
たとえば、建具を透過性のあるものにすることで、窓辺の明るさが奥の空間までやわらかく届くようにする。外部との直接的な連続性がなくても、気配としての自然が室内に入り込んでくる余地はつくれる。
そうした工夫が、自然を再現するのではなく、日々の中でふと気づくような、自然を感じる余白をつくってくれる。その受け取り方は、空間の構成や素材の選び方によって体感していくことができるのではないかと思っています。
素材と出会う

今年のはじめ、ある店舗の設計でヨシ(葦)という素材に出会いました。
10数年ものあいだ、ひとつの素材と向き合い続けてきたアトリエMayさんの姿勢。
そのエネルギーと、素材から空間へと昇華していく創造と実現のかっこよさに心を動かされました。かっこいい先輩に出会えた気持ちでいます。
地元の素材で、こんなに面白いことができる。
設計を担当した2つの店舗空間(アトリエMayさんの店舗と枚方文化観光協会さんの事務所)では、完成したあとにその“場”がもつ心地よさを身体で感じました。
それは、かつて見慣れていたはずの素材が、まったく新しい輪郭で立ち上がってくるような、不思議な感覚にも思えました。


土着建築でありたい

私がここ枚方で育ってきたからか、それともいつもそばにあった素材だからなのか。
理由ははっきりしないけれど、心地がいいなと思えた。景色の記憶から立ち上がる建築に触れたからなのではないかと思う。
これからの設計のなかでも、その場所の素材を、その場所の風景の一部として空間に編み込んでいくことを、大切にしていきたい。そうした建築を積み重ねていけたらと思っています。
自然を享受する建築のかたち

自然を享受するとは、ただ緑を取り入れることでも、通風を確保することでもないと今考えています。
空間に余白をつくり、光の変化や素材の気配にふと立ち止まれる状態をつくること。
身体が自然の移ろいに気づける感覚を、暮らしのなかに取り戻すこと。
都市の一室にそうした場をつくることができたらと思い設計を進めています。今月から解体着工しますのでまたブログ更新できればと思います。

