あれは大学3年生の夏休みだった。
横浜の大学から京都に帰省していた。
その頃、みんなは就職活動をしていたが、私は特に行きたいところもなくダラダラと過ごしていた。
やりたいことも見つからず、授業にもあまり出てなかったので、就職どころか卒業もあやしかった。
在籍していたのは経済学部。
経済なんかまるっきり興味がない。
大学は国公立という事もあって、みんな大手の銀行や証券会社に決まっていた。
地元に帰って、京都市内をぶらぶらしていた時のこと。
ふと目に止まったのは、雑居ビルの1階に入っている小さな本屋さん。
MEDIA SHOP というちょっとB級なネーミング。
アート系の本をメインに扱っている本屋だった。
そこで出会ってしまった。
平積みにしてあった写真集。
それはフランクロイドライトという有名な建築家の作品集
建築の美しさと自然と溶け合っている姿に一目惚れ。
アートのような美しさ
秘密基地のようなワクワク感
大好きな深い緑と川
一瞬でその美しさの虜になった。
写真集の裏表紙をみると値札には
20,000円😱
貧乏学生にはあり得ない金額。
でもこれはなんとしてでも手に入れないとならない。
ATMを探して出金。
そしてその日のうちに建築の道を目指すことを決意
フランクロイドライトさんのおかげで人生が変わりました。
ひとつの出会いが人生を変えてしまうくらいのターニングポイントになった。
あの時、あの本屋に入っていなかったら
今どんな人生を送っていたのだろう。
ちなみになんの興味もなかった大学はその後退学。
両親には泣かれました。
あと一年我慢して国公立大学を卒業して欲しいと懇願されました。
あの時両親にはガッカリさせたかもしれないけど、諦めずに建築の道を進んで良かった。
次は他の誰かを感動させられるようなもの作ることで、恩返しをしていこう。