枚方のリノベーション住宅や注文住宅のgreen建築工房

コラム

#4.ヨシ(葦)って知ってる?環境への取り組みをご紹介

人間は考える葦である

-Blaise Pascal

フランスの哲学者パスカルの有名な言葉より、”葦”というものをご存じの方も多いでしょう。
この言葉は、「人間は自然界においてはどうしても弱い存在。しかし、思考する存在であることに意味がある。考えることこそ人間の偉大な力である。」ということを言っています。
パスカルの言う葦は弱い存在の表現に使われていますが、日本の水辺で多く見られる葦は実際どのような植物なのか皆さんはご存じでしょうか?
今回は、葦の持つ力とgreen建築工房の取り組みをご紹介します。

1.ヨシ(葦)って何?

葦はイネ科ヨシ属の多年草であり、川岸や湖沼の水際などの水湿地に生え、泥の中に地下茎というものを広げて背の高い群落を形成します。
見た目の似た植物もたくさんありますが、葦は茎が直立して高さは大きいもので5m近くなります。
また、茎は硬く空洞になっており、枝分かれしません。
現在、水辺がコンクリートで覆われていき、葦の個体数は減りつつあるのが現実です。
しかし、葦は多くの生物の貴重な住処となるうえ、根には水質の浄化作用を持ちます。

葦の水質浄化作用としてはいくつかあります。
1つは葦が生えていることで水流の勢いが弱まり、水中の汚れを沈めることができる点と、水中の茎に付く微生物が汚れを分解してくれる点。
もう1つは、水中の窒素やリン酸等を葦が養分として吸い取ってくれる点があります。

葦の力は再評価されてきており、復元事業が盛んに行われている地域もあるほどです。

冬にも穂を残す葦

冬にも穂を残す葦

葦原は昔から日本の生活に欠かせないもの

葦原は昔から日本の生活に欠かせないもの

刈り取られた葦

刈り取られた葦-1

刈り取られた葦

刈り取られた葦-2

葦は古くから人々の生活の中に在りました。
古事記や日本書紀では、日本の美称として「豊葦原千五百秋瑞穂国(とよあしはらのちいほあきのみずほのくに)」、「豊葦原瑞穂国(とよあしはらみずほのくに)」という言葉が記されていました。
万葉集にも葦に関する句が50首以上あります。
俳句における春の季語、冬の季語などに用いられており、文学的にも稲と同様に日本を象徴する植物として使用されていたのです。

葦は「アシ」とも「ヨシ」とも読みます。
本来は「アシ」と呼ばれていましたが、”悪し”に通じるとし、”善し”と呼ぶようになりました。
現在でも標準和名としては「ヨシ」を用いることが多いです。

2.ヨシの活用法

葦は昔から様々なものに活用されてきました。
今回は葦の活用法の一部をご紹介します。

葦簀(よしず)

現在も使われている最もメジャーな使用方法としては葦簀(よしず)が挙げられるでしょう。
葦を糸で繋いで立てかけたり、軒下等に吊るしたりすることで日除けとして使用します。
葦の茎は耐久性があり、内部が空洞になっている構造から排水性に優れているため、夏は涼しく冬は暖かい素材です。
葦簀(よしず)以外にも屋根材として、現在も茅葺民家の葺替えに使用されています。

葦船は最も原始的な舟で、古代エジプトやインド、中国などで用いられていました。
古事記では、イザナギとイザナミの間に生まれた子である蛭子命(ヒルコ)がこの葦船に乗せられて海に流されたと記されています。
そのため、現在は葦船がお神輿として神事に利用されており、葦が神聖なものとして使われていたことが分かります。

生薬

葦の根っこを乾燥させた生薬を蘆根(ろこん)と言います。
煎じて飲めば利尿、消炎、健胃、吐気止めに効能のある漢方薬です。
また、葦の茎は葦茎(いけい)と言い、麦茶やハトムギ茶とブレンドすることで美容に効くお茶としても飲まれています。

食用

春に出てくる葦の若芽は、タケノコと同様に食用になります。
収穫した若芽は皮をむいて天ぷらや和え物、炊込みご飯にもおすすめです。
また、食用の葦パウダーを使用してクッキーなどのお菓子を作る方もいます。

楽器

竹と同様に葦の茎は内部が空洞になっているため、葦笛として楽器に加工することができます。
古代ギリシャに由来を持つパンフルートという楽器は、葦笛の長さ違いのもの並べたつくりです。
雅楽で用いられる笙(しょう)や篳篥(ひちりき)という楽器にも葦が加工されて使用されています。

ヨシ糸

アトリエMayのヨシ糸クロス

ヨシの繊維と綿を混合させたヨシ糸として、2020年頃に開発され実用化された新しい素材です。
アトリエMayさんが中心となって、ヨシ糸を使った布巾やタオル、ストールなどが商品化されています。
ヨシ糸が使われている製品は、吸水性やがよく、乾きやすい特徴があります。
green建築工房が運営する、「green商店」でもアトリエMayさんのヨシ糸を販売しております。

3.green建築工房の取り組み

私たちgreen建築工房が葦への取り組みを始めたきっかけは、枚方文化観光協会さんより事務所移転の新装依頼をお受けしたことでした。
せっかくの改装、”枚方”という土地にまつわる何かを取り入れた新装提案がしたいという想いからたどり着いたのが、地域資源であるこの葦でした。
そして、枚方を拠点に日本の伝統である葦文化を未来へ繋ぎ、「経済の循環を通じて葦原を守る仕組み」を目指して活動されているされているアトリエMayさんと出会い、私たちgreen建築工房もボランティアイベントに参加させていただきました。

イベント参加させていただいたのは上牧/鵜殿葦原

葦と他の植物を混ぜないよう選定

葦刈りの様子

100本の束をいくつも作ります

収穫した葦

収穫した葦は建材として、枚方文化観光協会さんの事務所改修に採用させていただきました。
枚方の地域資源由来の素材である葦を珪藻土やモルタルに混ぜて使用します。
左官の際は、DIYイベントとして皆さんにご参加いただきました。

DIYイベントの様子-1

葦をモルタルの骨材に.

左官後の壁面

DIYイベントの様子-2

このように、葦は古くから日本人の生活に無くてはならなかった植物であり、現在になってもその活用方法は無限大です。 アトリエMayさんは「葦を資源とする持続可能な事業を創出し、河川や葦原の生態系を地域で守る仕組みを構築すること」を理念に10年以上活動をされています。 green建築工房はその想いに共感し、一緒にこの活動を盛り上げていきたいと考えています。 未来に繋いでいく大切な地域資源として、この葦を今後も活用していけるよう取り組み、発信していきたいと思います。