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人が集まる場所をつくる
デザイン リノベーションとは 建築 日常のできごと 貫十
社会人になって1年ほど経った頃、それまで働いていた設計事務所に退職届を提出し、バックパック一つ担いでバリ島へ向かいました。
「世界中の建築を見てまわりたい」と思ったのがきっかけでした。
決めていたのは、学生の頃に行って大好きだったバリ島からスタートするということだけ。
飛行機のチケットも往復の格安チケットを買って、帰りのチケットは破り捨てたのを覚えています。笑
当時はスマホも持ってなく、ガイドブックも持たず(何か国も回るのに全部持っていく訳にいかない)、泊まる宿さえも決まっていない中、バリ島の空港に降り立った時のドキドキ感、あの時の景色は今でも覚えています。
旅自体は半年の予定でしたが、気づいたら2年ほど経っていました、、、笑
東南アジアから中近東、ヨーロッパまでいろいろな国を彷徨いました。
あれから20数年、、、
再びバリ島に降り立ちました。
今回はもちろん放浪するためではなく、趣味でやっているトレイルランニングの大会に出場するためです。
大会自体はとてもハードでしたが、楽しめました。
ただ、帰国して思うのは、「確かめたかった」んじゃないかなと。
20数年前に感じていた「建築への想い」を確かめたかったような気がします。
2年間放浪していた時に、有名な建築や遺跡、そして街の風景、それぞれの国の生活、価値観に触れ、自分の中の「建築とは」みたいな定義が定まっていったと感じます。
敢えて、恐れずに言うなら、、「建築は手段でしかない」と思っています。
「建築」は「空間」を生み出すためのもの
もっと正確に言うなら「空気感」を生み出すもの。
「場」を生み出すと言えば伝わるかもしれない。
世界中の建築を見て回っていた時、正直に言うとあまりピンとこないことの方が多かった。
特に遺跡にはほとんど何も感じないくらい。
もちろんデザイン的な美しさだったり、学ぶことはたくさんあったのは間違いないけど、ピンとこなかった。
それよりも日常の生活に密着した場所にある「井戸端会議」の場 が本当に楽しかった。
アジアでは屋根だけあって、窓のない、外のような部屋のような、中途半端?な場所がたくさんあります。
そこに昼間から人が集まり、ワイワイガヤガヤしている。
みんな仕事はしてるの?って感じだけど、なぜか毎日みんなそこにいる。
そこでは何かゆったりとした空気が流れていて、穏やかな空気に満ちている。
その時にハッと気づいたのが「俺がつくりたかったのは、美しい建物、かっこいい建物ではなく、こんな「人が集まる場」なんだ」ということ
人が集まれて、穏やかな空気が流れ、Happyになれる場所。
その建物があるから人が集まれる。
今回20数年ぶりにバリ島を訪れ、あの時に感じた「建築への想い」を再確認しました。
「住宅」であれ、「店舗」であれ、人が集まりたくなるような空気感を生み出せる建築をつくっていきたいと感じれる旅になりました。