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素材と建築
デザイン 建築 涼
学生時代の思い出
学生時代に海外へ建築を見に行った時期があります。
約30か国ほど回って気になる場所や建物を自分の目で見る旅でした。
その時の思い出は今も自分の中に色濃く残っています。旅先で出会った人も現地で食べた食事も、乗ったバスも電車も全てが刺激的だったのです。
風土が現れる素材
アジアから中東、アフリカ、ヨーロッパ、北米、南米と回ったのですが近代建築だけが印象的だったわけではなく、古い家屋や集落がとても興味深く感じました。
モロッコのワルザザート近郊に「アイット=ベン=ハドゥ」という集落があります。モロッコ内にある世界遺産のひとつです。
外部からの侵入を防ぐために城砦のようになっていて、通路はとても入り組んでいます。1階の窓はなく、集落自体の入り口はひとつだけです。
それぞれの家が連なってできているのですが、遠目で見ると崖があるだけで家には見えません。
周りの地面とほぼ同じ見た目だからです。
土と石で作られた外壁は風景にも馴染みます。いろんな背景があるとは思いますが、この土地で元からあった素材を使って住処を作ることは、見ていて力強さを感じました。
トルコのセリメ修道院の写真です。
岩山をくり抜いて礼拝堂を作ったり、生活ができるようにもなっています。
国や地域も違いますが、共通点を感じながら見ていました。
周りの風景も見るとモロッコと同じように馴染んでいることが分かります。
大切にしたいこと
ずっと今まで残ってきた景色や大事に使われてきた場所に全く新しくて目立ったデザインを提案したいとは思っていません。
新しくてもその場所に前からあったような、落ち着いた建築を設計できたらと思っています。
住宅を設計する上では、周りに対しても住む人にとっても寛容であり、日常を豊かにしてくれる空間になるよう努力していけたらと思います。